大判例

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東京高等裁判所 昭和55年(う)764号 判決

租税犯等の行政刑罰においては、行政法上の義務者でない行為者を処罰するためには特別の規定が必要であるところ、法人税法一五九条一項および一六四条一項は、最近における企業組織の発達に伴い、脱法的な逮法行為を抑制し、あるいはその予防措置を講ずべく、義務者でない行為者をも処罰する必要が生じて、法人の事務を処理する代表者、代理人、使用人その他の従業者を処罰するために設けられた規定であるから、右各条項に規定されている者は、必ずしも当該法人が雇用その他の契約により事業に従事せしめた者であることを要しないのみならず、名称の如何を問わず、事実上その法人の組織内にあつて、直接または間接にその業務に従事する者であればよく、したがつて、同条項のいう「その他の従業者」には、当該法人の代表者ではない実質的な経営者も含まれるものと解するのを相当とする。そして、関係各証拠によれば、被告人李中錫は、昭和四七年五月ころ、特殊浴場の経営を目的とする被告人中央観光株式会社を設立して、その代表取締役に就任し、その業務の運営に従事していた者であるところ、昭和四八年八月売春防止法違反の罪で罰金刑に処せられたため、同年一一月右会社の代表取締役を辞任したが、その後も引き続き、同会社の実質的な経営者として、その運営全般に関与していたばかりでなく、昭和四九年にはその余の各被告会社を設立し、その代表取締役には知人の平古英一を就任せしめたものの、昭和四九年三月から昭年五二年六月までの間、各被告会社の運営全般を総括していたことが認められる。してみれば、被告人李中錫は、各被告会社の実質的な経営者であつて、法人税法一五九条一項および一六四条一項の「その他の従業者」に該当するものと認めるのが相当であるから、この点につき、原判決には法令適用の誤りはないものといわなければならない。

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